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WEBLOG 育休関連

「男性育休」取得で体験した闇

こんにちは、富山です。

10月1日から

改正・育児介護休業法が施行され

いわゆる「産後パパ育休」が

スタートしました。



プロフィールにもあります通り、

私は子供2人で計10か月の育休を

経験しました。

当時まだ男性育休取得率が

3%前後だったので、

かなりレアな存在でした。

勤務していた銀行初の男性育休で、

結局、私が退職するまで

後には1人も現れませんでした。

ですが、HPには

「男性育休取得率100%」

という文言が…



今回は「男性育休」を

取得したことで

感じた闇についてお話しします。



「男性育休」の実績。

よくある手法は、

「年末年始のお休みやお盆休みで

育休を取得し男性育休の

実績を作る。」

というやり方です。

倫理的な問題は別として、

確かに育休を取得したことには

なりますね。



しかし私が勤めていた銀行で

行われていたのは、

「配偶者の分娩に際し3日間の

特別休暇を与える。」

というのを「男性育休」と名付け、

その取得率が100%だと

主張していたのです。



・・・これってつまり、

「忌引き休暇取得率100%」

と主張することと

何ら変わりないのです^^;



そもそも「育休」という文言自体が

誤解を生みかねません。



男性育休を取得したことで、

人事部トップクラスの方々と

面談する機会も多々ありました。

また、当時すでに社労士の勉強を

していたので、

当時の人事副部長に上記の内容を、

意見しました。

結果、

「いや、まぁ…

そうなんだけどねぇ。」

と濁されてしまいました。



また、初めて育休を取得した当時は

お偉い方々が次々挨拶にきて、

「取得してくれてありがとう。」

と言われました。

最初のうちは悪い気は

しませんでしたが、

徐々にその理由がわかりました。



「世間体」「マウント」です。



銀行はとにかく

世間体を気にする組織。

そのため、

世の中で言われていた男性育休の

実績が先んじて欲しかった。

そしてその実績ができたことで、

ライバル金融機関に対して

「マウントが取れた」


ということです。



とある人事部のお偉いさんが、


「金融機関同士の集まりで、

『ウチから男性育休


取得者が出た。』

『10か月も取ってしっかり


両立してくれた。』

と言えた。


おかげで鼻高々だった。」


と私の前でポロっと

本音を漏らしました…



また、育休から現場に復帰すると

今度は逆の立場の本音

現れました。

復帰後の面談で

上司に言われたのは、


「育休だの権利主張する前に

義務を果たせ義務を!

昼休みなんて10分だよ10分!

人の2倍3倍働くんだよ!

そうやって誠意見せてから言え!」



また、育休セミナーで話す

機会が与えられた際には、

別の上司に

「あなたは奥さんが仕事人で

稼ぎがいいから育休が


取れただけなんだから

調子に乗るな!」



と言われてセミナーに

送り出されました。




こんな銀行でしたが、

当時から

「働き方改革推進中」

「男性育休取得率100%」


ということで企業が

PRされていました。


この時代錯誤な使用者。

綺麗に着飾った外面と、

醜い内面のギャップ。

結局、退職するまで

悩まされ続けました。



職場ではこんな感じでしたが、

私自身は育休取得は人生で最良の

選択の一つだったと

今でも思っています。

世界観も変わりました。

ある時、

「人生で一番頑張ったことは

なんですか?」

と質問された際に、

ギターでも社労士の勉強でもなく、

「子育てです!」と即答でした。





親が子を育てるのは

当たり前なこと。

なのに、男性がやるだけで

特別扱いされることが、

なくなって欲しい。

「イクメン」なんて言葉が、

死語になって欲しいと

願うばかりです。


今回の法改正も然り。

まだまだ制度的に

見直しは必要でしょう。

また企業の体制作りも

必要になってくるでしょう。

経験者として、

その力になりたいと

思う今日この頃です。



富山 直樹



<編集後記>

男性育休取得で

嫌な思いもたくさんしましたが、

応援してくれた方も

中にはいました。


育休取得中、及びその後の

子育て時短勤務中は昇給が

ありませんでした。


定期昇給日の4月1日に

在籍していなかったこと。

休んでいる、

フルタイムで働いていない、

1年間フルに勤務しなかったこと

が理由です。

賞与も当然減額。


しかしその期間で、

1度だけ昇給しました。

当時の上司曰く、


「普段の仕事ぶりみて、

『この給与のままはナイな』

と思ったから、

昇給を人事に進言しておいた。

それにトミちゃん、

俺すげーと思うよ!

俺、子育て妻に全部任せて

仕事ばっかで

なーんもやってこなかったから。

それ両方やってるのって、

すげーよ。」



こうして認めてくれる方も

中にはいました。

この時は本当に泣きそうな程

嬉しかったです。

その後、異動で離れ離れになって

しまいましたが、

2回だけその後に連絡しました。


1回目は銀行を辞める時。

非常に残念がってくれました。


もう1回は先月、開業した時。

そうしましたらお祝いの

メッセージと共に、

大きい花束が送られてきました。


もしこの方の部下である期間が

もう少し長かったら…

まだ銀行員続けていたかも

しれないという思い。

そして銀行で次に

本当の男性育休取得者がでたら、

是非また助けてあげて欲しいと、

思うばかりです。